08.03
もう一つのポートランド、意外と知られていないメイン州の人気の街は、4度の大火から不死鳥のごとくよみがえった!
ポートランドと言えば、オレゴン州のポートランドを思い浮かべる方が多いでしょう。
アメリカ合衆国には二つのポートランドがあります。
オレゴン州ポートランドとメイン州ポートランド。
ここでは、メイン州のポートランドの地名の由来や人口の変遷などについてご紹介します。
ポートランドは、アメリカ合衆国北東部ニューイングランドの6州のうち最北東端に位置するメイン州の街です。
1832年まではメイン州の州都でしたが、その後州都は、内陸部の街オーガスタに移りました。しかしながら、ポートランドは今でもメイン州最大の人口を有する町であり、メイン州の人口の4割にあたる50万人を超える都市圏の中心地、そしてメイン州経済の中心地でもあるのです。
ポートランドの市章には、灰の中から昇るフェニックス(不死鳥)が描かれていますが、これは4度にわたる大火からの復活に由来しています。
特に1886年7月4日の独立記念日の大火は、祝賀会中に出火し、市内の商業ビルの大部分、半数の教会、数百軒の家を焼失させ、1万人以上が家を失うというものでした。
さて、ポートランドという地名は、古英語(Old English)のPortlandaに由来すると言われています。Portlandaは、港を取り囲む土地を意味しています。
その名の示す通り、全米でも有数の港湾都市であり、特に原油の取り扱い量はアメリカ合衆国東海岸で最大と言われています。
なお、オレゴン州のポートランドは、メイン州ポートランドに由来しているそうです。
検索エンジンで「ポートランド」と検索するとオレゴン州のポートランドばかりが上位に並んでしまいますが、アメリカ合衆国の行きたい街の上位にランキングされるなど、決して見劣りのする街ではありません。街の情報が知りたい場合は、「メイン州ポートランド」で検索してみましょう。
人口の変遷
アメリカ合衆国では10年に1回のセンサスが実施されており、今年2020年はセンサス年となっています。
ポートランドでも10年に1回のセンサスによる人口を知ることができます。
1790年以降、2010年までの人口を下表にまとめました。
1899年にポートランドは近隣の街デュアリングと合併しており、人口が大幅に増加しました。
その後ポートランドの人口は1950年に7万7634人のピークを迎えます。現在は、6万人台半ばでほぼ停滞していますが、直近の2010年のセンサスではやや増加しました。
ポートランドの人口の変遷
年 | 人口 | 備考 |
1790年 | 2,240人 | |
1800年 | 3,704人 | |
1810年 | 7,169人 | |
1820年 | 8,581人 | |
1830年 | 12,598人 | |
1840年 | 15,218人 | |
1850年 | 20,815人 | |
1860年 | 26,341人 | 1853年モントリオールへの鉄道が完成 |
1870年 | 31,413人 | 1866年大火 |
1880年 | 33,810人 | |
1890年 | 36,425人 | |
1900年 | 50,145人 | 1899年ディアリング市と合併 |
1910年 | 58,571人 | |
1920年 | 69,272人 | |
1930年 | 70,810人 | |
1940年 | 73,643人 | |
1950年 | 77,634人 | |
1960年 | 72,566人 | |
1970年 | 65,116人 | |
1980年 | 61,572人 | |
1990年 | 64,358人 | |
2000年 | 64,249人 | |
2010年 | 66,194人 |
ポートランドへの行き方
日本からポートランドへは、成田空港発であれば、ニューオリンズやデトロイト、シカゴを経由して、アメリカ国内線でポートランドに向かう路線が運行されています。
所要時間はどれも同じようで14時間~14時間半程度見なければなりません。
ニューヨークからは、直行便で1時間半ほどです。
ニューイングランドの中心都市であるマサチューセッツ州ボストンからは、鉄道で約2時間半でポートランドに着きます。
東海岸だけあってアジアからほど遠く、町を歩いていてもアジア系の人々はあまり見かけないようですが、東京都品川区とは姉妹都市でもあり、ポートランド市内には品川区から寄贈された郵便ポストもあるそうです。
クラフトビールの醸造所も多く、岩場の多い海岸でとれるロブスターやカキなどが名物、日本人にもなじみの深い食材が豊富です。
ニューヨークの大都会を堪能した後や、大都会の喧騒に疲れた後は、足を延ばしてみるのもよいかもしれません。
<参照>
・井上謙治、藤井基精編,アメリカ地名辞典,2001年,研究社出版
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』