2025
02.24

令和2年国勢調査結果による日本の人口集中地区(3)~北海道太平洋側東部、中標津町、根室市、釧路町、釧路市

ブログ, 日本の人口集中地区(地域別)

2020(令和2)年の国勢調査結果に基づき、人口集中地区を地域別に紹介するシリーズの3回目、北海道太平洋側東部の人口集中地区を取り上げます。

概要

ここで紹介する人口集中地区は、標津郡中標津町、根室市、釧路郡釧路町、釧路市Ⅰ、Ⅱの5つの地区、釧路市Ⅰおよび釧路郡釧路町が構成する釧路市連合人口集中地区、釧路市Ⅰ、Ⅱおよび釧路郡釧路町が構成する釧路市人口集中地区集塊です。

なお、ここではお互いの人口集中地区が隣接して連続しているものを合わせて連合人口集中地区、また、お互いの人口集中地区間の距離が2km以内のものを合わせて人口集中地区集塊として定義づけしています。

個別の人口集中地区で人口、面積の最大はともに釧路市人口集中地区Ⅰ(釧路市中心部)の人口12万9115人、面積35.22km2でした。また、人口密度の最大は釧路郡釧路町人口集中地区の3980.9人/km2でした。

一方、人口、人口密度の最小は標津郡中標津町人口集中地区の人口9295人、人口密度2895.6人/km2、面積の最小は釧路郡釧路町人口集中地区の2.56km2でした。

図1.北海道太平洋側東部の人口集中地区

表1.人口集中地区とその人口、面積、人口密度(令和2年度国勢調査結果による)

地域名(人口集中地区) 人口
(人)
面積
(km2
人口密度
(人/km2
釧路市 人口集中地区Ⅰ 129,115 35.22 3,666.0
釧路市 人口集中地区Ⅱ 19,038 4.95 3,846.1
根室市 人口集中地区 14,007 4.65 3,012.3
釧路郡釧路町 人口集中地区 10,191 2.56 3,980.9
標津郡中標津町 人口集中地区 9,295 3.21 2,895.6

※表中の最大値を太字、最小値を斜体で示した。

釧路市連合人口集中地区は、隣接する釧路市人口集中地区Ⅰおよび釧路郡釧路町人口集中地区からなる人口集中地区と定義しています。

表2.連合人口集中地区とその人口、面積、人口密度(令和2年度国勢調査結果による)

地域名(連合人口集中地区) 人口
(人)
面積
(km2
人口密度
(人/km2
釧路市 連合人口集中地区 139,306 37.78 3,687.3

釧路市人口集中地区集塊は、互いに隣接、近接する釧路市人口集中地区Ⅰ、Ⅱ、釧路郡釧路町人口集中地区の3つの人口集中地区からなる地区と定義しています。

表3.人口集中地区集塊とその人口、面積、人口密度(令和2年度国勢調査結果による)

地域名(人口集中地区集塊) 人口
(人)
面積
(km2
人口密度
(人/km2
釧路市 人口集中地区集塊 158,344 42.73 3,705.7

標津郡中標津町 人口集中地区

北海道東部、根室海峡に注ぐ標津川中流部の街です。周辺に広がる格子状の防風保安林は北海道遺産、人と自然が織りなす日本の風景百選に認定されています。空港に近く、知床への観光拠点になっています。

図2.令和2年国勢調査結果による標津郡中標津町の人口集中地区

~人口集中地区概要(令和2年国勢調査結果)~

人口集中地区名:標津郡中標津町(しべつぐんなかしべつちょう) 人口集中地区
場所:北海道標津郡中標津町
人口集中地区の人口:9295人 [平成27年:9663人]
人口増減数(平成27年との差):-368人(人口増減率:-3.8%)
人口集中地区の面積:3.21km2 [平成27年:3.13km2
面積増減数(平成27年との差):0.08km2(面積増減率:2.6%)
人口集中地区の人口密度:2895.6人/km2 [平成27年:3087.2人/km2人口集中地区の世帯:4563世帯 [平成27年:4570世帯]
世帯数増減数(平成27年との差):-7世帯(世帯数増減率:-0.2%)
最も近い人口集中地区:北海道根室市 人口集中地区(直線距離:52.4km・主要道:道道8号-国道243号-国道44号(自動車専用道路の使用なし)74.9km)

図3.中標津市街周辺に広がる格子状の防風保安林

根室市 人口集中地区

根室半島のほぼ中央部、北方領土の玄関口根室港を擁する日本最東端の人口集中地区です。東部の明治公園内にある近代化産業遺産の3基のサイロや毎年5月半ば頃花開く日本一開花の遅い桜、チシマザクラが夜間ライトアップされます。

図4.令和2年国勢調査結果による根室市の人口集中地区

~人口集中地区概要(令和2年国勢調査結果)~

人口集中地区名:根室市(ねむろし) 人口集中地区
場所:北海道根室市 人口集中地区の人口:1万4007人 [平成27年:1万5511人]
人口増減数(平成27年との差):-1504人(人口増減率:-9.7%)
人口集中地区の面積:4.65km2 [平成27年:4.96km2
面積増減数(平成27年との差):-0.31km2(面積増減率:-6.3%)
人口集中地区の人口密度:3012.3人/km2 [平成27年:3127.2人/km2
人口集中地区の世帯:6855世帯 [平成27年:7112世帯]
世帯数増減数(平成27年との差):-257世帯(世帯数増減率:-3.6%)
最も近い人口集中地区:北海道標津郡中標津町 人口集中地区(直線距離:52.4km・主要道:国道44号(自動車専用道路の使用なし)-国道243号-道道8号74.9km)

図5.根室市街

図6.明治公園内にある近代化産業遺産の3基のサイロ

釧路郡釧路町 人口集中地区

釧路市中心部の人口集中地区に隣接するセチリ太と呼ばれる地域に広がる人口集中地区です。釧路市のベッドタウンとして発展しました。街の北にはラムサール条約登録湿地、国内最大の湿原釧路湿原が広がっています。

図7.令和2年国勢調査結果による釧路郡釧路町 人口集中地区Ⅰ

~人口集中地区概要(令和2年国勢調査結果)~

人口集中地区名:釧路郡釧路町(くしろぐんくしろちょう) 人口集中地区
場所:北海道釧路郡釧路町豊美(とよみ)一~二丁目、北都(ほくと)一~二丁目、曙(あけぼの)一~四丁目、桂木(かつらぎ)一~六丁目、桂(かつら)一~五丁目、雁来(かりき)、富原(とみはら)、睦(むつみ)一~六丁目、木場(きば)一丁目の一部、木場二丁目、光和(こうわ)一~八丁目、新開(しんかい)一~七丁目、国誉(こくよ)一~三・五~六丁目、国誉四丁目の一部、若葉(わかば)一・三~四・六丁目、若葉二・五丁目のそれぞれ一部、北見団地(きたみだんち)一~七丁目
人口集中地区の人口:1万0191人 [平成27年:1万0923人]
人口増減数(平成27年との差):-732人(人口増減率:-6.7%)
人口集中地区の面積:2.56km2 [平成27年:2.39km2
面積増減数(平成27年との差):0.17km2(面積増減率:7.1%)
人口集中地区の人口密度:3980.9人/km2 [平成27年:4570.3人/km2
人口集中地区の世帯:4740世帯 [平成27年:4746世帯]
世帯数増減数(平成27年との差):-6世帯(世帯数増減率:-0.1%)
最も近い人口集中地区:北海道釧路市 人口集中地区Ⅰ(隣接)

図8.釧路郡釧路町 人口集中地区の空中写真(国土地理院地図・空中写真閲覧サービス(撮影:2015年7月10日、11日)より作成)

釧路市 人口集中地区Ⅰ

北海道東部、釧路川河口部に位置する道東地方の政治の中心地です。日本有数の水揚げ高を誇る釧路港は、国際バルク戦略港湾(穀物)でもあります。近傍に釧路空港を有し、釧路湿原や阿寒湖、摩周湖などへの観光の玄関口となっています。

図9.令和2年国勢調査結果による釧路市 人口集中地区Ⅰ

~人口集中地区概要(令和2年国勢調査結果)~

人口集中地区名:釧路市(くしろし) 人口集中地区Ⅰ
場所:北海道釧路市(くしろし)黒金町七丁目ほか釧路市中心部一帯(詳細省略)
人口集中地区の人口:12万9115人 [平成27年:13万5201人]
人口増減数(平成27年との差):-6086人(人口増減率:-4.5%)
人口集中地区の面積:35.22km2 [平成27年:35.94km2
面積増減数(平成27年との差):-0.72km2(面積増減率:-2.0%)
人口集中地区の人口密度:3666.0人/km2 [平成27年:3761.9人/km2
人口集中地区の世帯:6万3746世帯 [平成27年:6万4597世帯]
世帯数増減数(平成27年との差):-851世帯(世帯数増減率:-1.3%)
最も近い人口集中地区:北海道釧路郡釧路町 人口集中地区(隣接)

図10.釧路市街 右下の橋は弊舞橋

ここからは、人口集中地区内の名所、弊舞橋について少しだけ紹介したいと思います。

弊舞橋(ぬさまいばし)は、釧路川の最も下流に建設された橋です。それまで渡し船で越えていた釧路川に、1889(明治22)年、当時道内で最も長い木橋「愛北橋」として建設されたのが始まりです。この橋が1898(明治31)年に倒壊、1900(明治33)年に架け替えられた官設の橋は地域の名称から弊舞橋と名付けられました。その後2度の倒壊、架設を繰り返しましたが、1928(昭和3)年には全長113メートルの北海道内発の鉄筋コンクリート橋が完成、優雅なアーチ型のヨーロッパ風デザインと4基の大理石によるオベリスクが頑丈さだけでなく美しさも兼備していると評価され、北海道三大名橋の一つに数えられました。その後老朽化対策と渋滞緩和のため1976(昭和51)年になって5代目となる現在の橋が完成、市民参加型で設計された新橋はオベリスクやアーチ型に以前の橋の面影を残しつつ、新たに機能性と芸術性に配慮した試みを採用しています。高欄(橋の転落防止柵)には釧路市出身の彫刻家米坂ヒデノリ氏のハマナスをモチーフとした模様「花に囲まれた道」を採用、4人の日本を代表する彫刻家による「四季の像」を橋脚上に配置、橋は今でも日本百名橋にも数えられる名橋です。

図11.夕日に染まる弊舞橋

釧路市 人口集中地区Ⅱ

国の天然記念物ヒブナの生息で知られる春採湖の南東に市街地が広がります。興津一丁目では国内唯一の坑内堀稼行炭鉱、釧路コールマイン株式会社が海底下から石炭を採掘、2020年12月に営業運転を始めた釧路火力発電所がこれを燃料に稼働します。

図12.令和2年国勢調査結果による釧路市 人口集中地区Ⅱ

~人口集中地区概要(令和2年国勢調査結果)~

人口集中地区名:釧路市(くしろし) 人口集中地区Ⅱ
場所:北海道釧路市春採(はるとり)一~三・五丁目のそれぞれ一部、春採四・六丁目、紫雲台(しうんだい)の一部、興津(おこつ)一・三~五丁目のそれぞれ一部、興津二丁目、益浦(ますうら)二・四丁目のそれぞれ一部、桜ヶ丘(さくらがおか)一~五・八丁目のそれぞれ一部、桜ヶ丘六~七丁目、白樺台一・三丁目、白樺台(しらかばだい)二・四~七丁目のそれぞれ一部
人口集中地区の人口:1万9038人 [平成27年:2万0891人]
人口増減数(平成27年との差):-1853人(人口増減率:-8.9%)
人口集中地区の面積:4.95km2 [平成27年:5.21km2
面積増減数(平成27年との差):-0.26km2(面積増減率:-5.0%)
人口集中地区の人口密度:3846.1人/km2 [平成27年:4009.8人/km2
人口集中地区の世帯:8813世帯 [平成27年:9442世帯]
世帯数増減数(平成27年との差):-629世帯(世帯数増減率:-6.7%)
最も近い人口集中地区:北海道釧路市 人口集中地区Ⅰ(直線距離:0.1km・主要道:道道113号0.4km)

図13.令和2年国勢調査結果による釧路市 人口集中地区Ⅱ

図14.春採湖の対岸から30~40m前後の高台に広がる市街地を望む

釧路市 連合人口集中地区

令和2年度で14万人弱の人口を擁しますが、平成27年からの人口増減率は-4.7%になり、人口減少傾向が続いています。最も近い人口集中地区は、春採湖を挟んで南側、わずか0.1km離れた釧路市人口集中地区Ⅱであり、主要道(道道113号)を経由してもわずか0.4kmの距離です。

図15.令和2年国勢調査結果による釧路市 連合人口集中地区

~人口集中地区概要(令和2年国勢調査結果)~

人口集中地区名:釧路市(くしろし) 連合人口集中地区
場所:釧路市 人口集中地区Ⅰ、釧路郡釧路町 人口集中地区
人口集中地区の人口:13万9306人 [平成27年:14万6124人]
人口増減数(平成27年との差):-6818人(人口増減率:-4.7%)
人口集中地区の面積:37.78km2 [平成27年:38.33km2
面積増減数(平成27年との差):-0.55km2(面積増減率:-1.4%)
人口集中地区の人口密度:3687.3人/km2 [平成27年:3812.3人/km2
人口集中地区の世帯:6万8486世帯 [平成27年:6万9343世帯]
世帯数増減数(平成27年との差):-857世帯(世帯数増減率:-1.2%)
最も近い人口集中地区:北海道釧路市 人口集中地区Ⅱ(直線距離:0.1km・主要道:道道113号0.4km)

ここからは、連合人口集中地区の北側に広がる釧路湿原について少しだけ紹介したいと思います。

釧路湿原は、釧路市連合人口集中地区の北側に隣接する日本最大の湿原、湿地でありその面積はおよそ2万6000ha(260km2)にのぼります。湿原の中を大きく蛇行しながら釧路川が流れ、小さな湖沼や泥炭層の小さな穴に水がたまった底なし沼「やちまなこ」が各所に点在します。ヨシやスゲの湿原が大部分を占め、スゲ属の大きな塊は谷地坊主(やちぼうず)と呼ばれ、釧路湿原の独特な景観を生み出しています。動物では、日本最大の淡水魚イトウなどの希少動物が生息し、タンチョウなど多くの鳥類の繁殖地や休息地となっています。1980(昭和55)年に中心部は日本国内で初めてラムサール条約登録湿地となり、1987(昭和62)年に全域が国立公園(釧路湿原国立公園)に指定されました。

図16.釧路湿原

図17.釧路湿原の谷地坊主

釧路市 人口集中地区集塊

令和2年度で16万人弱の人口を擁しますが、平成27年からの人口増減率は-5.2%に達し、人口減少傾向が続いています。最も近い人口集中地区である標津郡中標津町人口集中地区であっても直線距離で72.5km、主要道経由で87.3kmの距離があります。

図18.令和2年国勢調査結果による釧路市 人口集中地区集塊

~人口集中地区概要(令和2年国勢調査結果)~

人口集中地区名:釧路市(くしろし) 人口集中地区集塊
場所:北海道釧路市 人口集中地区Ⅰ・Ⅱ、釧路郡釧路町 人口集中地区
人口集中地区の人口:15万8344人 [平成27年:16万7015人]
人口増減数(平成27年との差):-8671人(人口増減率:-5.2%)
人口集中地区の面積:42.73km2 [平成27年:43.53km2
面積増減数(平成27年との差):-0.80km2(面積増減率:-1.8%)
人口集中地区の人口密度:3705.7人/km2 [平成27年:3836.8人/km2
人口集中地区の世帯:7万7299世帯 [平成27年:7万8785世帯]
世帯数増減数(平成27年との差):-1486世帯(世帯数増減率:-1.9%)
最も近い人口集中地区:北海道標津郡中標津町 人口集中地区(直線距離:72.5km・主要道:道道113号-国道44号-国道272号-道道13号87.3km)

図19.釧路市 人口集中地区集塊の衛星写真(一般財団法人リモート・センシング技術センターの地球可視化ツール「VEGA」を利用して作図)

注:地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工して作成、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト

<参照>

・政府の総合統計窓口 https://www.e-stat.go.jp/

・中標津町HP https://www.nakashibetsu.jp/

・根室市HP https://www.city.nemuro.hokkaido.jp/index.html

・釧路町HP http://www.town.kushiro.lg.jp/

・釧路市HP https://www.city.kushiro.lg.jp/

・国土交通省北海道開発局釧路開発建設部ウェブサイト https://www.hkd.mlit.go.jp/ks/index.html

・フリー百科事典『ウィキペディア

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