08.22
人口ピラミッドは何をもの語る?!世界の人口の過去と現在、そして未来
世界の人口ピラミッド、そして世界の諸地域のうち、特徴的なヨーロッパ、アジア、アフリカ地域の人口ピラミッドを作ってみました。
まずはじめに、人口ピラミッドの基本的な型とその特徴を概説し、過去(1950年)、現在(2022年)、未来(2100年)の人口ピラミッドを見ていきたいと思います。
目 次
人口ピラミッドの基本形とその特徴
人口ピラミッドの主な型には、その名の通りピラミッド型のほか、富士山型、釣り鐘型、つぼ型などがあります。
このうち、富士山型は出生率、死亡率ともに高く、特に子供の死亡率が高いために低年齢の階級でピラミッドは急激にすぼまります。
ピラミッド型は出生率が高く、死亡率が低下した段階で現れます。特に子供の死亡率が低くなり、年齢の上昇による人口の減少がほぼ一定となります。人口が急増する型です。
釣り鐘型は、出生後ある程度の高年齢に達するまで死亡率は非常に低く、その後、高年齢になって死亡率が上昇するため、このような形になります。この型の人口増加は緩やかです。
そしてつぼ型は、出生率が低く、より年齢の高い人口が多くなる型です。この型が続くということは、毎年子供の人口が減っていくと言うことであり、人口停滞から次第に減少に移ってゆく型にあたります。また、人口のピーク年齢が徐々に高齢側に移っていくため高齢化が顕著となり、生産年齢(15歳~64歳)人口が減少して行きます。
人口ピラミッドの基本型
1950年の人口ピラミッド
世界およびその多くの人口を抱えるアジアの人口ピラミッドはほぼ同じ形をしています。基本的にはピラミッド型に属し、4歳以下の幼年人口にピークがあります。
この傾向は、ヨーロッパ、アフリカにも見られ、1945年に集結した第二次世界大戦後のベビーブームと考えて良さそうです。
ヨーロッパのピラミッドは基本的には釣り鐘型のようですが複雑な形をしています。4歳~6歳が少ないのは第二次世界大戦の影響、31歳~33歳が少ないのは第一次世界大戦の影響です。ヨーロッパはこれら大戦の影響を大きく受けました。
このほかに17歳前後がやや少なくなっていますが、おそらくはホロドモール注と呼ばれる、”ヨーロッパのパンかご”ウクライナを中心に発生した飢饉の影響ではないでしょうか。
一方で、アフリカのピラミッドはまだ富士山型をしています。
1950年の人口ピラミッド(世界)
1950年の人口ピラミッド(ヨーロッパ)
1950年の人口ピラミッド(アジア)
1950年の人口ピラミッド(アフリカ)
2022年の人口ピラミッド
世界の人口ピラミッドを見ると、ピラミッド型から釣り鐘型への移行途中のように見えます。
人口のピークは5~9歳に見られ、すでにそれ以下の人口は減少を始めているように見えます。
ヨーロッパはすでにつぼ型であり、アジアは釣り鐘型、アフリカは富士山型からピラミッド型への移行過程のようです。
これを言い換えると、ヨーロッパは人口減少期に入っており、アジアは緩やかな人口増の段階、アフリカは人口の爆発的増加の段階と言って良いでしょう。
2022年の人口ピラミッド(世界)
2022年の人口ピラミッド(ヨーロッパ)
2022年の人口ピラミッド(アジア)
2022年の人口ピラミッド(アフリカ)
2100年の人口ピラミッド
では、未来はどのように変わっていくのでしょうか。
世界、ヨーロッパ、アジアはともにつぼ型であり、ピーク人口は世界で50代前半、ヨーロッパとアジアで50代半ばと、高齢化が進んでいるようです。
一方、アフリカはやっと釣り鐘型になり、出生率も下がってきたところでしょうか。ピーク人口は20代にあり、2100年以降の世界を牽引する力を内蔵しているようです。
2100年の人口ピラミッド(世界)
2100年の人口ピラミッド(ヨーロッパ)
2100年の人口ピラミッド(アジア)
2100年の人口ピラミッド(アフリカ)
最後に
国連の人口推計値、将来推計値をベースに人口ピラミッドを作成してみましたが、推計値では戦争の影響で人口が減っている年齢層が如実に現れていました。
2022年以降の将来推計値は、今後起こりうる戦争や疫病などによって大きく変わります。2100年のピラミッドのようななめらかな形ではなく、人災、天災を形に刻んだ、もっと複雑な形になっていくのです。
2100年には、実際どのような人口ピラミッドが形成されているのでしょうか。
筆者には見ることのない世界ですが、幼い子供たち、これから生まれる子供たちにとって、より良いピラミッドとなっていることを願ってやみません。
注 ホロドモール:1932年から1934年にかけてウクライナを主として、ソビエト連邦各地で起きた大飢饉。ホロドモールの名は、ウクライナ語のホロド(飢饉)とモル(絶滅、疫病など)の合成語。
<参考>
・国際連合 2022年、世界将来推計人口 https://population.un.org/wpp/Download/Standard/Population/
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』