2022
04.17

人口集中地区の定義と都市的地域、そして無人島の人口集中地区とは?東京都港区第六台場の謎!

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令和2年国勢調査の人口集中地区の境界データが公開されたばかりですが、今回から人口集中地区についての話題をブログ記事として綴っていければと思います。

日本の国勢調査では、昭和35年から人口集中地区が集計、統計されていますが、人口集中地区の定義とはそもそも何でしょうか。

人口集中地区の定義と都市的地域

総務省統計局によると人口集中地区とは、「統計データに基づいて一定の基準により都市的地域を定めた」ものとされています。

では都市的地域とは、何でしょうか。

ウィキペディアでは「その周辺に比して高い人口密度をもち、多数の人工構築物などが特徴となっている地域」と記述されています。

現在、日本では上記のように都市的地域を人口集中地区としていますが、昭和30年以前の国勢調査では市及び区は都市的地域、郡部(町村)は農漁村的地域を表すものとして慣用的に用いられていました。

昭和28年の町村合併促進法及び昭和31年の新市町村建設促進法により、町村が新たに市制を施行、あるいは合併が進んだことによって、市の面積が広大となり、人口密度が低下し、市が都市的地域を示すとは明瞭に言えなくなったことから、新たに人口集中地区が定義される必要が生じたのです。

また、都市的地域の定義は、世界各国で異なるのが現状です。

このように、都市的地域とは世界で統一された基準がないため、単純に比較は出来ないのですが、国連のレポートでは世界各国の都市的地域(urban area)および農村地域(rural area)について人口やその比率が集計されています。

なお、世界の都市的地域の分布の状況については、別記事としてとりまとめたいと思います。

さて、日本の国勢調査における都市的地域、つまりは人口集中地区について概説していきたいと思います。今回はその第1回目です。

東京都の人口集中地区(その1)

東京都特別23区はすべての地域が人口集中地区となっています。

東京都特別区部を中心に人口集中地区は、東京都内陸部、そして近隣の神奈川県や埼玉県、千葉県へと広がっていますが、特別区部から距離が離れるに従い、地域に占める人口集中地区の割合は減っていきます。

島嶼部を除く東京都であっても、西部の奥多摩町や日の出町、檜原村には人口集中地区はありません。

関東地方の人口集中地区(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

それでは、東京都における人口集中地区の細部をピックアップしながらみていきましょう。

無人島第六台場はなぜ人口集中地区に?

特別23区の人口集中地区で、最初に気になったのは、臨海部です。

特別23区の臨海部には、海を隔てた人口集中地区が点在します。

人が住んでいない、かつ橋もつながっていない人口集中地区もあります。

それはレインボーブリッジの南に浮かぶ第六台場です。

その一方で、すぐ南東に浮かぶ同じく無人島の鳥の島は人口集中地区ではありません。

この違いの理由は何なのでしょうか。

第六台場と鳥の島(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

国勢調査は、調査の基本単位区ごとに人口集中地区を設定しています。第六台場が該当する基本単位区が人口集中地区に該当したためなのでしょうか。

ところで、基本単位区とは国勢調査の集計結果の最小地域単位であり、住居表示実施地域では原則として街区が、住居表示未実施地域では街区に相当する区画が基本単位区となります。

そして、街区とは住居表示に関する法律第2条によれば「市町村内の街又は字の名称並びに当該町又は字の区域を道路、鉄道若(も)しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川、水路等によって区画した場合におけるその区画された地域」とされており、住居表示上では、●●町●丁目●番●号の「●番」を街区符号と言います。

つまり、「●番」にあたる区画が街区と言うことになります。

また、住居表示未実施地域では「街区に相当する区画」を基本単位区としていることから、●丁目のうち道路や鉄道、河川などによって分けられる地域が概ね基本単位区と考えて良いようです。

基本単位区については、Webサイトなどでの公開は行われていないため、所定の手続きを行った上で総務省統計図書館で閲覧するか、当該市区町村の統計主管課で閲覧する必要があります。

では、今手に入れることの出来る情報で確認できないでしょうか。

試しに第六台場をGoogleマップでクリックしてみてください。

東京都台場1丁目11と出ます。つまり東京都台場1丁目11番、街区に相当します。

「東京都港区台場1丁目11番」の第六台場

第六台場の南東側に浮かぶ島、鳥の島はやはり無人島で人口集中地区には該当しないのですが、ここはどうでしょうか。クリックしてみてください。

「東京都港区台場1丁目」の鳥の島

「東京都港区台場1丁目」としかでてきません。

つまり、第六台場=東京都港区台場1丁目11番=住居表示実施地域、

鳥の島=東京都港区台場1丁目=住居表示未実施地域

であることがわかります。

第六台場は無人島であるにもかかわらず、なぜ人口集中地区に含まれたのか、

それはつまり住居表示実施地区であるが故に、基本調査区の一部となったことに起因すると考えられます。

では、第六台場以外の台場1丁目11番はどこでしょうか。

実は、Googleで台場1丁目11番を検索すると第六台場が表示されるのみです。

港区において人口集中地区か否かは、住居表示実施地区か否かで区分されているようです。

とはいえ、なぜひとつの基本調査区に該当しそうな第六台場が、無人であるにもかかわらず人口集中地区に該当するのか、謎は残ったままです。

さらにもう一つの謎が浮かび上がりました。

先に東京都特別23区はすべて人口集中地区に該当すると記述しました。

特別23区の人口、及び特別23区の人口集中地区の人口はともに973万3276人、面積もともに627.53km2です。

ところが、「鳥の島」は東京都港区にあるにもかかわらず、人口集中地区に該当していないのです。

もしこれらの情報に詳しい方がいらっしゃれば、ツイッターをやっていますので情報いただければ、本記事もしくは別途追記したいと思います。

注 人口集中地区とは,総務省統計局 https://www.stat.go.jp/data/chiri/1-1.html

<参照>

・政府の総合統計窓口 https://www.e-stat.go.jp/

・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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