09.12
都市の違いを発見!?日本とアメリカの都市の人口密度を比較してみた!
前回、アメリカと日本の都市の人口を比較し、その人口規模別の都市数がとてもよく似ていたことをお伝えしました。
とはいえ、さすがに人口3億人を超え、面積が日本のおよそ25倍と広大な国アメリカ合衆国と日本を比較して、その都市に違いはあるはずです。
かつてウサギ小屋と呼ばれた日本の居住環境(日本人が言い始めたそうですが)、それに比べ広い敷地に大きな家が建つアメリカ合衆国や西洋の諸国、きっと都市の人口密度に大きな違いがあるはずです。
そこで、日本とアメリカ合衆国の都市の人口密度を比較してみました。
もちろん、日本の人口は2020年10月1日の国勢調査の速報集計値、アメリカ合衆国は2020年4月1日の人口センサスの結果です。
人口密度規模ごとの都市数の比較
人口密度10,000人/km2以上の都市は、日本では7都市ありますが、アメリカ合衆国では1都市のみ、人口密度8,000人/km2以上、10,000人/km2未満の都市は日本で9都市、アメリカ合衆国では0でした。人口密度5,000人/km2以上の都市の合計は、日本で29都市、アメリカ合衆国で4都市と、日本が圧倒的に多い結果となりました。
また、双方とも1,000人/km2以上,2,000人/km2未満の都市が最多でしたが、その数はアメリカ合衆国が日本の倍以上でした。
一方で、1,000人/km2未満の都市は、日本が35都市、アメリカ合衆国が33都市でほぼ同数、500人/km2未満の都市に限れば、日本の18都市はアメリカ合衆国の9都市の2倍となっています。
人口密度規模ごとの都市数の比較
人口密度規模 | 都市数 | 都市数の積算値 | ||
日本 | アメリカ合衆国 | 日本 | アメリカ合衆国 | |
10,000人/km2以上 | 7 | 1 | 7 | 1 |
9,000人/km2以上,10,000人/km2未満 | 4 | 0 | 11 | 1 |
8,000人/km2以上,9,000人/km2未満 | 5 | 0 | 16 | 1 |
7,000人/km2以上,8,000人/km2未満 | 4 | 2 | 20 | 3 |
6,000人/km2以上,7,000人/km2未満 | 7 | 0 | 27 | 3 |
5,000人/km2以上,6,000人/km2未満 | 2 | 1 | 29 | 4 |
4,000人/km2以上,5,000人/km2未満 | 4 | 8 | 33 | 12 |
3,000人/km2以上,4,000人/km2未満 | 11 | 6 | 44 | 18 |
2,000人/km2以上,3,000人/km2未満 | 4 | 17 | 48 | 35 |
1,000人/km2以上,2,000人/km2未満 | 27 | 57 | 75 | 92 |
500人/km2以上,1,000人/km2未満 | 17 | 24 | 92 | 116 |
500人/km2未満 | 18 | 9 | 110 | 125 |
日本とアメリカ合衆国の人口規模ごとの都市数の比較
人口密度規模ごとの都市の出現率の比較
人口密度規模ごとの出現率注1(対象とする人口密度規模の都市数の対象全都市数からの割合)を比較してみました。
日本では、人口密度10,000人/km2以上から2,000人/km2以上、3,000人/km2未満にかけて、都市数の割合は一定で、出現率の積算値は概ね同じ値で増加していきます。そして1,000人/km2以上、2,000人/km2未満の出現率がはねあがり、500人/km2以上、1000人/km2未満でやや出現率が下がるものの、500人/km2未満の都市もその出現率は高くなっています。
一方、アメリカ合衆国では人口密度5,000人/km2以上の都市が少なく、4,000人/km2以上、5,000人/km2未満で増え始め、1,000人/km2以上、2000人/km2未満で都市数の出現率は激増し、その積算値は初めて日本を上回ります。その後、減少に転じ、500人/km2未満の都市の出現率は日本の半分以下でした。
人口密度規模ごとの都市の出現率の比較
人口密度規模 | 都市の出現率※1 | 都市の出現率の積算値※2 | ||
日本 | アメリカ合衆国 | 日本 | アメリカ合衆国 | |
10,000人/km2以上 | 6.4% | 0.8% | 6.4% | 0.8% |
9,000人/km2以上,10,000人/km2未満 | 3.6% | 0.0% | 10.0% | 0.8% |
8,000人/km2以上,9,000人/km2未満 | 4.5% | 0.0% | 14.5% | 0.8% |
7,000人/km2以上,8,000人/km2未満 | 3.6% | 1.6% | 18.2% | 2.4% |
6,000人/km2以上,7,000人/km2未満 | 6.4% | 0.0% | 24.5% | 2.4% |
5,000人/km2以上,6,000人/km2未満 | 1.8% | 0.8% | 26.4% | 3.2% |
4,000人/km2以上,5,000人/km2未満 | 3.6% | 6.4% | 30.0% | 9.6% |
3,000人/km2以上,4,000人/km2未満 | 10.0% | 4.8% | 40.0% | 14.4% |
2,000人/km2以上,3,000人/km2未満 | 3.6% | 13.6% | 43.6% | 28.0% |
1,000人/km2以上,2,000人/km2未満 | 24.5% | 45.6% | 68.2% | 73.6% |
500人/km2以上,1,000人/km2未満 | 15.5% | 19.2% | 83.6% | 92.8% |
500人/km2未満 | 16.4% | 7.2% | 100.0% | 100.0% |
※1 出現率の下二桁以下を四捨五入して求めているため、合計は必ずしも100%にならない。
※2 出現率の下二桁、および出現率の積算値の下二桁以下を四捨五入して求めているため、左記出現率の積算値と必ずしも合致しない。
日本とアメリカ合衆国の人口規模ごとの都市数の割合(出現率)の比較
都市人口密度ランキング
ここで、人口密度の高い10都市と低い10都市をランキングしてみました。
どんな都市が、ランキングされているのでしょうか。参考として人口と面積を併記しました。
日本の人口密度上位都市には、すべて東京、大阪の2大都市とその周辺の都市がランキングされています。東京都特別23区は面積がランキング中最大であり、人口密度も2位以下に差をつけています。広範囲に人口稠密地域が広がる都市と言ってよいでしょう。
一方、アメリカ合衆国では1位のニューヨークが飛び抜けて人口密度が高くなっています。面積もランキング中最大であり、東京都特別23区をもしのぎます。2位のジャージーシティは、4位のニューアーク、9位のヨンカーズはいずれもニューヨークの衛星都市です。ニューヨークおよびその周辺都市がアメリカ合衆国内でいかに人口稠密であるかがわかりますが、一方で日本ほど人口稠密地域は広がらず、一部で稠密ではあるもののその周辺では極端に人口密度が高いわけではないことがわかります。
日本の20万人以上の都市の人口密度ランキング(上位10位)
順位 | 都市名 | 人口密度 | 人口 | 面積 |
1位 | 東京都 特別23区 | 15,528.4人/km2 | 9,744,534人 | 627.53km2 |
2位 | 東京都 西東京市 | 13,167.6人/km2 | 207,389人 | 15.75km2 |
3位 | 大阪府 大阪市 | 12,225.9人/km2 | 2,754,742人 | 225.32km2 |
4位 | 東京都 調布市 | 11,247.5人/km2 | 242,721人 | 21.58km2 |
5位 | 大阪府 豊中市 | 11,042.0人/km2 | 401,818人 | 36.39km2 |
6位 | 神奈川県 川崎市 | 10,762.1人/km2 | 1,539,081人 | 143.01km2 |
7位 | 大阪府 吹田市 | 10,689.6人/km2 | 385,787人 | 36.39km2 |
8位 | 埼玉県 川口市 | 9,595.8人/km2 | 594,461人 | 143.01km2 |
9位 | 大阪府 寝屋川市 | 9,301.6人/km2 | 229,749人 | 36.09km2 |
10位 | 兵庫県 尼崎市 | 9,063.8人/km2 | 459,717人 | 61.95km2 |
アメリカ合衆国の人口20万人以上都市の人口密度ランキング(上位10位)
順位 | 都市名 | 人口密度 | 人口 | 面積 |
1位 | ニューヨーク州 ニューヨーク | 11,232.2人/km2 | 8,804,190人 | 783.83km2 |
2位 | ニュージャージー州 ジャージーシティ | 7,634.6人/km2 | 292,449人 | 38.31km2 |
3位 | カリフォルニア州 サンフランシスコ | 7,199.5人/km2 | 873,965人 | 121.39km2 |
4位 | マサチューセッツ州 ボストン | 5,403.2人/km2 | 675,647人 | 125.04km2 |
5位 | ニュージャージー州 ニューアーク | 4,972.7人/km2 | 311,549人 | 62.65km2 |
6位 | フロリダ州 マイアミ | 4,760.2人/km2 | 442,241人 | 92.90km2 |
7位 | イリノイ州 シカゴ | 4,658.3人/km2 | 2,746,388人 | 589.56km2 |
8位 | ペンシルバニア州 フィラデルフィア | 4,617.7人/km2 | 1,603,797人 | 347.32km2 |
9位 | ニューヨーク州 ヨンカーズ | 4,535.7人/km2 | 211,569人 | 46.65km2 |
10位 | カリフォルニア州 サンタアナ | 4,392.3人/km2 | 310,227人 | 70.63km2 |
人口密度の低い都市のランキングを見ると、日本、アメリカ合衆国ともに地方の中核都市が並びます。
日本の都市はイメージがしやすいと思いますが、9位にランクインした下関市が、北九州市と都市圏を構成しているのみで、他はいずれも他の大きな都市からは距離的に離れた都市です。
アメリカ合衆国では、1位のアラスカ州アンカレッジこそ面積が日本の山梨県程度と非常に広く別格ですが、その他の都市はやはり日本の人口密度の低い都市と同程度の規模の都市であり、しかもいずれも地方の中心都市でもあります。
日本の20万人以上都市の人口密度ランキング(低い方から10位)
アメリカ合衆国の20万人以上都市の人口密度ランキング(低い方から10位)
順位 | 都市名 | 人口密度 | 人口 | 面積 |
1位 | アラスカ州 アンカレジ | 66.0人/km2 | 291,247人 | 4,415.10km2 |
2位 | ジョージア州 オーガスタ-リッチモンド | 258.0人/km2 | 202,081人 | 783.39km2 |
3位 | バージニア州 チェサピーク | 282.6人/km2 | 249,422人 | 882.67km2 |
4位 | ジョージア州 コロンバス | 369.2人/km2 | 206,922人 | 560.45km2 |
5位 | アラバマ州 ハンツビル | 397.1人/km2 | 215,006人 | 541.44km2 |
6位 | オクラホマ州 オクラホマシティ | 433.6人/km2 | 681,054人 | 1,570.60km2 |
7位 | ケンタッキー州 レキシントン-ファイエット郡※ | 439.1人/km2 | 322,570人 | 734.65km2 |
8位 | アラバマ州 モントゴメリ | 485.4人/km2 | 200,603人 | 413.28km2 |
9位 | フロリダ州 ジャクソンビル | 490.8人/km2 | 949,611人 | 1,934.72km2 |
10位 | アリゾナ州 スコッツデール-リッチモンド郡※ | 506.7人/km2 | 241,361人 | 476.33km2 |
※ 市と郡が行政統合した自治体
日本とアメリカの都市の特徴
20万人以上の都市に限って、日本とアメリカ合衆国の都市の比較を行いましたが、双方の違いは大都市周辺の都市群の人口稠密度にあることがわかりました。
すなわち、日本では大都市とその周辺都市群が広く人口稠密であるのに対して、アメリカ合衆国では大都市中心部で人口稠密ではあるものの、その周辺部でその度合いは緩和されていました。
今後改めて、代表的な都市とその周辺都市の人口密度分布についても比較する予定です。
また今後も、様々な視点から、日本、アメリカ合衆国およびこれに限らず世界の都市の比較を、人口、人口密度を中心に考察していこうと思います。
注1 出現率:母集団(ここでは20万人以上の日本、あるいはアメリカ合衆国の都市の数)の中の対象とする条件に適合する(ここでは人口密度規模)ものの比率
<参照>
・アメリカ合衆国国勢調査局 https://www.census.gov/en.html
・政府の総合統計窓口 https://www.e-stat.go.jp/