04.26

ゴシック、ルネッサンス・・、多様な文化が織りなす大公国の首都の街並、人々が守った砂州、数々の世界遺産とリトアニア
リトアニアは、エストニア、ラトビアとともにバルト三国の一つで、北側をラトビア、南東側をベラルーシ、南側をポーランド、南西側をロシアの飛び地であるカリーニング州に接する国です。
リトアニア
西側はバルト海に面していますが、外海と接しているのは北側のわずか38kmの海岸線のみで、南側はクルシュー砂州によって外海と区切られたクルシューラグーンとなっています。
リトアニアの地形は全体的になだらかで平坦です。
最終氷期に形成された氷河の影響によるもので、最高地点でさえもわずか標高294メートルにすぎません。
また、国土には多くの湖や湿地帯があり、33%以上が針葉、広葉樹からなる混公林に占められています。
リトアニアの人口
リトアニアの人口は2,795,175人(2021年1月1日推計)、面積は65,286km2、人口密度は43人/km2です。
ソビエト連邦からの独立直前に行われた1989年12月1日のセンサス結果では人口3,674,802人であり、31年間でおよそ88万人減少したことになります。
リトアニアの首都は、最大都市のヴィリニュス(Vilnius,人口559,250人,2021年1月1日推計以下同様)であり、主要都市にはカウナス(Kaunas,人口293,257人)とクライペダ(Klaipėda,人口149,046人)、シャウレイ(Šiauliai,人口101,862人)があります。
首都ヴィリニュスの人口こそ、近年増加に転じていますが、その他の主要都市の人口は独立以降、減少が続いています。
そして今年、2021年はリトアニアの人口センサスが行われる年です。
結果が公開されたら、ニュースなどで紹介したいと思います。
リトアニアの世界遺産
リトアニアには4つの世界遺産があります。
その国土の面積に比較して、世界遺産の数が多いといって良いでしょう。
世界遺産のそれぞれについて、見ていってみましょう。
≪ヴィリニュスの歴史的地区≫
ヴィリニュスの旧市街は13世紀から18世紀末まで、一時は現在のベラルーシ全域、ウクライナ全域、ポーランドの一部、ロシアの一部を領土とするヨーロッパ最大の国家となったリトアニア大公国の政治的な中心地であり、東ヨーロッパの文化、建築の発展に大きな影響を与えました。
過去の侵略や部分的な破壊にもかかわらず、市街地にはゴシック、ルネッサンス、バロック、古典様式の建築物が残っており、その中世の概観や自然環境が保存されています。
これらのことが評価され、1994年に世界文化遺産に登録されました。
ヴィリニュス歴史地区の一部、ヴィリニュス大聖堂
ヴィリニュス歴史地区の一部、ケディミナス塔
≪クルシュー砂州≫
リトアニアの海岸の南部、クルシューラグーンとバルト海を分け隔てる砂州です。
クルシュー砂州は、16世紀には過放牧や木材の伐採によって森林が破壊され、この影響で砂丘に覆わます。砂丘が砂州の村々をのみこんだのです。
こうした事態に危機感を募らせた当時のプロイセンは、1825年になって森林の再生や緑化運動支援を開始します。そして、現在は砂州の大半が森林に覆われることになりました。
このように浸食作用や森林破壊などに直面しつつも、人々が作り上げてきた文化的景観が評価されて、2000年に世界文化遺産に登録されました。
クルシューラグーン、沖合に見えるのがクルシュー砂州
≪ケルナヴェの考古遺跡≫
2004年に世界遺産に登録されました。
敷地内には、古代の土地利用の痕跡と、5つの印象的な丘の砦の遺跡が保存されています。
ケルナヴェの考古遺跡
≪シュトルーヴェの測地弧≫
1816年から1855年にかけて、子午線弧長の三角測量のために設置された総延長2820kmに及ぶ三角点群のことで、2005年に世界遺産に登録されました。
天文学者のシュトルーヴェらによって設置された10か国に渡る世界遺産ですが、設置当初は2か国に跨っているにすぎなかったそうです。
地球の大きさなどを正確に測る上で多大な貢献をしました。
シュトルーヴェの測地弧
リトアニアの魅力はまだまだ尽きないですが、今週はここまでとします。
次回はリトアニア大公国など、歴史を中心に紹介できればと思います。
<参考>
・クルシュー砂州,世界遺産オンラインガイド https://worldheritagesite.xyz/curonian-spit/
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
・リトアニア統計局 https://osp.stat.gov.lt/