2020
04.05

なぜアメリカ大陸は、コロンビア大陸にならなかったのか?

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アメリカ大陸は、教科書ではコロンブスが最初に発見したと教えています。

発見者のコロンブスの名前が、大陸の名前についていないのはなぜなのでしょうか。

そもそもアメリカ大陸の「アメリカ」という名称は、どこからきているのでしょう。

アメリカの名称は、コロンブスと同じく大西洋を航海した探検家でありチリ学者であるアメリゴ・ヴェスブッチに由来するものです。

その顛末をご紹介しましょう。

クリストファー・コロンブスが新大陸を発見したのは1492年とされていますが、実際に大陸に到達したのは1498年、3度目の航海のことでした。南アメリカのオリノコ川の河口に上陸し、そこに流れる膨大な量の川の水が真水であったことから、彼はその地が大陸であることを認めざるを得なかったようです。

コロンブスは、1506年にスペインのバリャドリッドで亡くなるまで、自分が到達したこの大陸のことをアジアと信じて疑わなかったそうです。

一方、フィレンツェ共和国の公証人の息子として生まれたアメリゴ・ヴェスブッチは、1497年スペイン国王の西インド諸島への探検航海への参加要請を受け、43歳で初めて航海に出ます。

1501年~1502年に行われた第3回目の航海では、南アメリカ大陸東岸に沿って南下し、南緯50度に到達します。このとき、アジア大陸やアフリカ大陸の最南端よりもさらにこの大陸が南に続いていることから、既知のどの大陸にも属さない新大陸であることに気づくのです。

当時、アメリカ大陸は新世界や新大陸といった言葉で呼ばれていましたが、アメリゴは1503年に論文「新世界」を発表します。

そう、まだこの時点で、アメリカ大陸は「新世界」と呼ばれています。

1507年になって、南ドイツのチリ学者であるマルティン・ヴァルトゼーミュラーが、アメリゴの論文「新世界」を収録した地図学の入門書「宇宙誌入門」(Cosmographiae Introductio)を出版します。この本の付録の世界地図に記載された新大陸に「アメリカ」(アメリゴのラテン語名アメリクス・ウェスプキウスの女性形)という名がつけられており、これがアメリカ大陸という名称が使われた最初となりました。

この「宇宙誌入門」はベストセラーとなり、アメリカという名称はヨーロッパに普及します。

アメリゴは、コロンブスにとって晩年に至るまで親しい友人であり、支援者でもありました。新大陸の名称という栄誉を横取りする意図はなかったのですが、本の編集者のアイデアにより、アメリゴの意図なくつけられたこの「アメリカ」という名称が独り歩きし、後年新大陸発見の栄誉の横領者という濡れ衣を着せられる羽目になってしまったのです。

なお、今でもコロンブスの名は、南アメリカのコロンビア共和国、北アメリカのコロンビア川などの地名はもちろん、アメリカ大陸の雅称であるコロンビア大陸にも、その名を残しています。

<出典>

・フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」

・開運雑学ゼミナール,一般社団法人日本船主協会  

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