2020
04.12
アンコールワット遺跡

カンボジアのセンサスは日本が支援していた!

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人口センサスの結果は、詳細なデータが見たい場合、その国の統計局のホームページからたどることになりますが、そのとき問題となるのが言語です。

Google Chromeであれば、日本語への翻訳が容易ですが、翻訳文が最適なものとなっているわけではありません。特に専門用語が入ってくると、その傾向が顕著なものとなります。

さて、カンボジアの人口センサス結果を調べていると、なぜか日本の総務省統計局のWebページにたどり着きました。文章もそのまま日本語で書かれています。これはラッキー・・・。

なぜでしょう。

その答えは、日本がカンボジアの人口センサスを支援していたからでした。

プロジェクトの名前は、「カンボジア政府統計能力向上プロジェクト」

2005年8月に始まり、フェーズⅠからフェーズⅡ、フェーズⅢへと移行し、2015年9月に終了しました。

フェーズⅠでは統計研修支援が中心でしたが、2007年に始まったフェーズⅡではいよいよ人口センサス(2008年)を支援します。

2010年からのフェーズⅢでは経済センサス(2011年)、中間年人口調査(2013年)、中間年経済調査(2014年)を支援し、プロジェクトの幕を閉じるのでした。

では、本プロジェクトのフェーズⅡで行われた2008年の人口センサスについて、見ていくことにしましょう。

カンボジアにおける1回目の人口センサスは1962年に行われましたが、その後、第2回のセンサスが行われたのは36年後の1998年でした。長い空白期間は、戦争と政情不安定な期間が長く続いたことによるものです。

1998年の人口センサスは、カンボジアの国家開発計画を実施するにあたり非常に役立つものであることを立証しました。カンボジア王国政府は、1998年人口センサスを起点とし、10年に1度の人口センサスの実施を決定します。

2008年人口センサスは、1998年の人口センサス実施のちょうど10年後の2008年3月3日に、国連人口基金(UNFPA)、国際協力機構(JICA)、日本国政府、ドイツ連邦共和国政府の技術援助、資金援助のもと、実施されました。

ここで、日本の国際協力機構(JICA)は、資金援助とともに、調査区設定や集計を始めとした人口センサスの各分野の技術顧問として、専門家を短期間派遣します。

調査区の設定は、人口センサス準備作業の一環として各調査員が担当する区域を明確にするために重要です。カンボジアの各市町村の調査区設定を正確に実施することは、人口センサスの準備作業の最も重要なステップでした。

調査区の設定にあたって、カンボジアでは精密かつ詳細な地図がなかったため、航空写真および衛星地図が参考資料として使用されます。そして、村(Village)の境界の確認、位置の測定がGPSを利用して、なされます。

つまり、ここで初めて地図上に示すことのできる村の境界、位置が確定したわけです。

そして、センサスが実施されます。調査は、カンボジアの全24州の約280万世帯を対象とし、11日間の調査期間に行われました。調査には約3万5000人が動員され、全世帯インタビュー形式で行われました。

調査結果は、カンボジアの統計局はもちろんのこと、協力した日本の統計局のホームページでも見ることができます。

さて、その後の話です。

最新の人口センサスは、予定よりちょうど1年遅れの2019年3月3日に国連の協力のもと実施されました。

今回のセンサスには日本が協力していないため、日本語版がないのは残念ですが、今は翻訳サイトの無料翻訳のレベルも上がり、多少は手間がかかるものの、ほとんど違和感のない日本語の文章を提供してもらえます。

カンボジア統計局のHPを閲覧すると、現在、人口センサスの暫定値が公開されています。それによると、カンボジアの人口は15,288,489人となっています。

今後、公開される最終結果が待ち遠しいです。

<出典>

・総務省統計局HP カンボジア政府統計能力向上プロジェクト・フェーズ2 https://www.stat.go.jp/info/meetings/cambodia/phase2.html

・カンボジア統計局 http://www.nis.gov.kh/index.php/km/

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