2022
06.26

人口ランキング第3位、名古屋市広域人口集中地区、隣接する中京工業地帯中心部は豊富な河川水の恩恵を受け、水田地帯のど真ん中に!!

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前回まで、東京都広域人口集中地区、大阪市広域人口集中地区の二つについて、まとめてきました。

今回は、人口で第3位となる名古屋市を中心とした人口集中地区(名古屋市広域人口集中地区)についての記事です。

これまでと同様、名古屋市を中心として都市的地域、つまり人口集中地区が連続する地域を名古屋市広域人口集中地区としますが、東京都、大阪市と比較するとその規模は小さくなり、愛知県内に広がるのみです。

さて、2020年(令和2年)の国勢調査結果によると、

人口:351万1471人

面積:517.06km2 ※含まれる人口集中地区の面積を単純合計

人口密度:6791.2人/km2 ※上記人口と面積より求めた値

という結果となりました。

人口は東京都広域人口集中地区のおよそ10分の1、大阪市広域人口集中地区のおよそ3分の1の規模です。

名古屋市広域人口集中地区、いわゆる名古屋市から連続的につながる人口集中地区をオレンジ色で塗りつぶした(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

境界部にみるその特徴

それでは、名古屋市広域人口集中地区について、その境界部における特徴をみていきましょう。

【北端】

人口集中地区の北端は愛知県小牧市の中心市街地の北端、犬山市との境界にあたります。地図上、水田の面積が多く、市街地に大きく割り込んできているのがわかります。

名古屋市広域人口集中地区の北端、小牧市の人口集中地区、市街地に水田地帯が大きく割り込んできている(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

【北東端】

北東端は、岐阜県との県境となる道樹山(どうじゅさん)、弥勒山(みろくさん)など400m強の標高の山々が連なり、その麓に市街地が広がっています。

名古屋市広域人口集中地区の北東端、春日井市の人口集中地区は、道樹山の麓に広がる(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

【東側】

広域人口集中地区からはずれた東側一帯には水田地帯が広がり、ところどころで工場が立地しています。ここが中京工業地帯の中核といってよいでしょう。

そう、トヨタ自動車が立地する豊田市は、名古屋市広域人口集中地区からは外れており、数あるトヨタの工場で人口集中地区内に立地しているものも少ないのです。

これはどういうことでしょうか。

もともと愛知県は北アルプスを源流とする木曽川や長野県に源流のある矢作川など、多くの河川が流れ込む水の豊富な地域であり、工業用水も容易に得ることが出来ます。

いわば、人口集中地区の東隣は豊富な水の恩恵を受けた農業と工業の隣り合う地域と言えるのです。

名古屋市広域人口集中地区の東、豊明市の人口集中地区の東側には、水田地帯の中に、ぽつりぽつりとトヨタの自動車工場が!(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

なお、東端は地域の北東部に位置する瀬戸市の人口集中地区で、こちらは北東を山々が迫っています。瀬戸市ももう一つの工業、陶業で発達した街であり、山々の麓の採土場から採取された土は瀬戸物へと姿を変えていっています。

名古屋市広域人口集中地区の東端、瀬戸市の人口集中地区の東には、瀬戸物の原材料、陶土の採土場が隣接!(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

【南端】

南端部は、知多半島に伸びる中京工業地帯の埋立て地の末端近くまで伸びています。

この先は、およそ160m隔てて知多市新舞子地区の人口集中地区があり、その南にも断続的に人口集中地区が続きます。

平成27年(2015年)の国勢調査時には、中部国際空港を擁し、瀬戸市とともに六古窯の一つでもある常滑市まで人口集中地区が広がっていましたが、5年間で人口減少により地区が分断され、広域人口集中地区は縮小しました。

名古屋市広域人口集中地区の南端、知多市 人口集中地区Ⅰの南わずか160mに、新舞子地区(知多市 人口集中地区Ⅲが広がる(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

【西端】

海部郡蟹江町(あまぐんかにえちょう)が西端部にあたります。

木曽川のつくるデルタ地帯に水田地帯が広がる農村的景観へと変貌します。

名古屋市広域人口集中地区の西端、蟹江町は木曽川デルタと水田地帯が隣接(地図で見る統計(統計GIS,政府統計の総合窓口)の地図を加工、ベースの地図は国土地理院ウェブサイト)

濃尾平野に広がる名古屋市広域人口集中地区、堂々の第3位の人口規模を擁しますが、周辺には工業地帯の中心部や陶業の採土場、水田地帯、山々など多様な景観が広がっています。

なんといっても日本で最大の中京工業地帯と多くの地域で重なる地区であり、平成27年国勢調査時に比べ、全体ではその人口、面積は拡大しているようです。

<参照>

・日本経済新聞,中部は意外な水大国 発電の岐阜、水道安い名古屋 https://www.nikkei.com/article/DGXNZO45444280X20C12A8L91000/

・瀬戸,六古窯 https://sixancientkilns.jp/seto/

・政府の総合統計窓口 https://www.e-stat.go.jp/

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