2022
11.13

タックス・ヘイブンで有名なマン島ってどんなところ?マン島TTレースとHondaの偉業!

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マン島をご存じですか?

世界の大企業が租税回避のために利用するタックス・ヘイブンとしても有名です。

では、マン島ってどこにあるのでしょうか。そして、どこの国の島でしょうか。

マン島は国家ではありません。また、どこかの国に属しているわけでもありません。

では、どんな地域なんでしょうか。

マン島は、自治権を持ったイギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)王室属領(Crown dependency)に当たります。

1765年に成立したマン島購入法(Isle of Man Purchase Act 1765)以降、イギリス王室の君主(現在はチャールズ3世)がマン島の領主を世襲しているのです。

従って、イギリスの一部でもなく主権国家でもないため、当然EUに加盟することもなく、またイギリス連邦(コモンウェルス,commonwealth)の加盟国でもありません。

とはいえ、イギリスとの関係が深いことから、イギリス連邦の一部と見なされ、同連邦の加盟国による4年に1度の総合競技大会コモンウェルスゲームズなどに参加しています。

今回から何回に分けて、そんなマン島について見ていきたいと思います。

マン島の位置と地形

マン島はグレートブリテン島とアイルランド島の間のアイリッシュ海の中央部に浮かぶ島です。

                                 マン島の位置

           グレートブリテン島とアイルランド島の間の海、アイリッシュ海にマン島は浮かんでいます

マン島の海岸線は、北東から南西に向かう矢じりのような形をしており、その中央部を山々が連なります。

とはいえ、標高621mの最高峰スネーフェル(Sneafell)は、海岸の町ラクシーから山岳鉄道が頂上まで伸び、山頂の鉄道駅にはカフェレストランやホテルが併設されている登頂の容易な山です。徒歩で登ったとしても麓から45分程度、特別な装備なく登ることが出来るそうです。

そして、島の中央やや南には、これらの山々を分断するように、南東岸のマン島の主都、最大の町ダグラスから北西岸の町ピールにかけて谷が形成されています。

                                 マン島

マン島の面積は572km2、日本で言うと淡路島よりやや小さい面積で形も淡路島を逆さまにしたような島に8万4069人(2021年5月30日人口センサス)の人々が暮らしています。

世界で最も危険な競技、マン島TTレース

マン島TTレースは1907年から例年開催されている最も歴史の古いオートバイ競技です。

                   マン島TTレース公式ロゴ

TTはツーリスト・トロフィー(Tourist Trophy)の略称で、1905年に同じくマン島で開催された自動車レースで最初に使用されたものですが、TTレースと言えばマン島TTレースを指すほど、オートバイレースの名物イベントとして成長しました。

マン島TTレースは、マン島の立法府であるティンワルド(Ard-whaiyl Tinvaal)が制定した公道閉鎖令に基づいて公道を閉鎖して行われ、サーキットのように完全に整備された舗装路ではないこと、公道のためエスケープゾーンがほとんど存在しないことなどから、世界で最も危険なレース競技の一つとされています。

1992年のマン島TTレース、公道でレースは行われている。マシンはホンダRC30、レーサーはジョイ・ダンロップ,ウィキペディア マン島TTレースより

さて、レースが始まった当初は市販車の改良を目的として行われていたのですが、やがて出場するオートバイはスポーツタイプのものへと進化していきます。

日本のHonda、TTレースに参戦

このマン島TTレースに日本のチームとして初出場したのがHondaのチームでした。ときは、1959(昭和34)年、従業員からおやじさんと慕われた創業者、本田宗一郎のマン島TTレース出場宣言から実に5年の歳月が経っていました。

いまだ日本でオートバイがつくれると思われていない時代に、1台だけでも完走してくれればとの思いで臨んだTTレース、このレースで出場5台中4台が完走、6位~8位に入賞しメーカーチーム賞を獲得します。

すぐには海外渡航許可の下りなかった時代、2年目の遠征以降はHondaの名前でフリーパス状態だったと言います。

そしてマン島TTレース3年目にはワン・ツー・スリーを独占し、Hondaは、そして本田は夢を実現、ここに世界のHondaが誕生することになったのです。

マン島は、まさしく日本の技術を全世界に初めて”轟かせた”場所、とも言えそうです。

最後に

とかくタックス・ヘイブンが話題になりがちですが、まだまだマン島の魅力は尽きません。

マン島生まれの猫や羊、古い鉄道など、次回以降紹介していこうと思います。

注 ティンワルド:千年以上続く世界最古の議会。議会制民主主義であるが、三権分立が明確に区分化されていない。その歴史はマン島人の自慢の一つとなっている。

<参照>

・弥久保 宏,英国王室保護領マン島の統治システムについて -世界最古の議会Tynwaldの構造を中心に-,駒沢女子大学 研究紀要 第17号,p.309~323,2010年 駒沢女子大学・駒沢女子短期大学リポジトリ https://komajo.repo.nii.ac.jp/

・限りない夢、あふれる情熱,語り継ぎたいこと~チャレンジの50年~,HONDA The Power of Dreams https://www.honda.co.jp/50years-history/limitlessdreams/index.html

・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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